デフレとは景気が後退し物価が下がることです。
正確にはデフレーションといいます。
デフレーションでは企業収益が下がり、雇用機会が減って失業率が上昇し、設備投資や消費支出が落ち込みます。
人員整理や新規雇用者の賃金の下落などで企業のコストが減少して企業収益が回復し、物価の下落により消費が回復するなどして徐々にデフレは収束し景気回復局面に向かうのが理論上の原則です。
欧米各国では20世紀に入り何度かデフレ局面を経験し第二次世界大戦後にもデフレ局面が見られました。
日本では明治維新以来、昭和初期の恐慌時(このときはそのまま戦時経済に突入し正常な景気変動の動きが観測できなくなりました)くらいでデフレに対する経験が非常に乏しく、戦後は1990年代まで、ほぼインフレ局面とデフレに至らない後退局面を繰り返してきました。
物価下落無き不況いわゆるスタグフレーションが問題視されデフレに対する警戒感はゼロに近かったというかデフレ待望感すらありました。
企業収益力低下→賃金下落→消費下落→企業収益力低下というデフレスパイラルを初めて経験し日本人はすっかり参ってしまいました。
デフレ局面ではこれは普通の現象なのですが経験がないので、かなり大げさに受け止められました。
現在はデフレ局面は抜けています、企業の収益力は回復し、新卒雇用は増え、物価も上昇傾向にあります。
しかし、中高年を中心とした雇用調整はつづき、大部分の一般勤労者の所得は低く抑えられ、一般家庭の消費支出は低い水準に留まっています。
しかし、一部富裕層の購買力は増しているため経済全体は見事に回復しています。
戦後一貫して生活水準の底上げがつづいていたため、目立たなかった社会格差(実は一貫して広がってはいたのですが)が顕在化しています。